ワイヤーハーネスに大きく関わる
自動車産業の海外主要国の政策について
ワイヤーハーネスに直接的に関わる規制は特にありませんが、
間接的に深く関わっている自動車産業における海外主要国の政策についてご紹介します。
・米国の自動車関連政策動向
米国EPA(Environment Protection Agency)では、CAFÉ(Corporate Average Fuel Economy)と呼ばれる企業ごとの平均燃費の規制を行っており、2011年の見直しでは2020年までに燃費を4割改善する基準値が出されています。
米国内で特に排ガス規制が厳しいカリフォルニア州ではZEV(Zero Emission Vehicle)と呼ばれる排ガスを一切排出しない電気自動車や燃料電池自動車に関する規制がおこなわれています。2013年の改定ではカリフォルニア州において車の販売を行う自動車メーカは販売台数の一定割合をZEVとしなければならないとされました。カリフォルニア州で6万台以上販売するメーカ6社(クライスラー、フォード、GM、ホンダ、日産、トヨタ)が対象となっており、2015から2017年のZEV比率を14%以上とし、2025年以降は22%以上としています。2018年型以降、販売台数が中規模のメーカも対象となる見通しで、このような規制の動きは全米へ広がると考えられます。
・EUの自動車関連政策動向
EUでは1991年にユーロ0という排ガス規制がおこなわれて以来、徐々に排ガスの規制値を引き下げてユーロ1,2と末尾の数字が大きくなってきており、2014年9月からはユーロ6に至りました。この規制は世界で最も厳しい規制です。また二酸化炭素の排出規制もあり、2015年には二酸化炭素の排出量を130g/km、 2021年には95g/kmを基準としています。電気自動車や燃料電池自動車等の低公害車が増加すると考えられています。
EUではEU委員会と工業会による産官連携で低公害車の開発を進めるEGVI(Europion Green Vehicle Initiative)や燃料電池の開発と普及を進めるFCH JU(The Fuel Cells and Hydrogen Joint Undertaking)があり、FP7やHorizon2020の政策による枠組みのなかで欧州全体の国際競争力・技術力を向上させるために各種プロジェクトが実施されています。
・中国の自動車関連政策動向
1998年以降EUの排ガス規制に準拠した規制が行われているが、EUの規制よりも数年遅れています。例えば小型車では2010年からユーロ4に相当する規制がおこなわれている。2018年からはユーロ5相当の規制が導入される見通しです。また2005年から乗用車の燃費規制が始まり、第1、第2段階を経て、2012年1月からは第3段階の目標値が設定され、車両重量別に具体的な数値目標が定められています。乗用車企業平均燃料消耗量計算法により企業平均目標は2015年に14.5km/L、2020年に20km/Lと高い目標が設定され、電気自動車や燃料電池自動車等などの導入が必須と考えられます。
2004年に中国政府は自動車産業の構造調整を促進し、国際的な競争力を引き上げることを目的として自動車産業育成の基礎政策である自動車産業発展政策を公布しました。2009年には2011年の3ヵ年政策である自動車産業調整振興計画が開始されています。2012年には2020年までの方向性を示した省エネ及び新エネルギー自動車産業発展計画という施策を開始しました。低排気量自動車の購入に対する税政策政策や新エネルギー車取得の補助制度の実施により省エネ自動車は普及しつつありますが、新エネルギー車に関する技術は先進国に遅れをとっています。2000年に電気自動車開発が、重点化学技術発展を支援する「863計画」に組み入れられ、新エネルギー車に関する技術開発支援が始まっています。国家プロジェクトとして多額の資金を投入し、新エネルギー自動車産業の発展を促進しています。
*以下の資料を参照しています。
「特許出願技術動向調査報告書 ワイヤーハーネス 平成27年度」 特許庁