ワイヤーハーネスを検査するには
一般的なワイヤーハーネスの検査方法をご紹介いたします。
検査方法は器具や機械を利用した検査と目視による確認に分類されます。
■目視による検査
ワイヤーハーネスの検査は目視による確認の項目が多数あります。各項目を以下に説明します。
・寸法の検査
図面に指定された寸法を満たしているかメジャーや定規、ノギスなどを用いて実測し検査します。
主にワイヤーハーネスの全長や、分岐部の長さを実測します。ワイヤーハーネスの寸法が図面に指定されている交差
(基準値と許容される範囲の最大値および最小値)に収まっているか確認しましょう。
・部品取付の検査
コネクタや端子など取付部品は図面で指定されている部品か確認します。
またカバー、ストレインリリーフやケーブルクランプなどのネジを使用する製品はネジ山に潰れがなく、緩みなく、
ロック部が完全にロックされているか確認が必要です。ネジを使用する場合は、
トルクが測定できる器具により締め付けトルクを測定します。コネクタに端子を挿入するワイヤーハーネスの場合には
端子を手で引張り、端子が正しくコネクタに挿入されているか確認します。
・ラベルや表示の検査
ワイヤーハーネスには端部の行き先や識別をおこなうために、
ラベルや表示が一般的に取り付けられています。ラベルや表示の内容や色、字体、向きが図面で指定されている通りか確認します。
・圧着状態の検査
圧着状態を確認して電線の導体芯線部分と端子やコネクタ部分が正しく圧着され、
正しく接続されているか検査します。またマイクロメータを用いてクリンプハイト(端子が電線芯線を固定している部分の高さ)を
測定し、数値的にも圧着の状態を確認します。圧着状態の基準は各部品のメーカが通常は規定されています。
各メーカの基準を参考に自社の圧着規定を整理することをお勧めします。
・圧接状態の検査
圧接状態を確認して電線の導体部分とコネクタ部分が正しく圧接され、
正しく接続されているか検査します。圧着状態の基準は各部品のメーカが通常は規定されています。
各メーカの基準を参考に自社の圧着規定を整理することをお勧めします。なお圧接状態が悪い場合は、
後に説明する導通耐圧検査で発見されます。
・結束状態の検査
ワイヤーハーネスに結束されている部分がある場合は、
正しい結束方法で正しい位置に結束がなされているか確認します。位置の確認では定規やメジャーを用いて
結束部を実測し寸法を確認します。
・外観検査
目視によりワイヤーハーネスに組み込まれている各部品の欠け、キズ、変色、亀裂などの
損傷状態と汚れを確認します。微細な損傷や汚れの確認が必要な場合はマイクロスコープ、拡大鏡、電子顕微鏡を用いて
ワイヤーハーネスを拡大し検査します。
■機械や器具による
ワイヤーハーネスの検査は機械による確認の項目があります。各項目を以下に説明します。
・導通耐圧の検査
導通耐圧チェッカーを用いて、電気的に正しく通電し指定電圧に耐えられるか検査します。
まず導通耐圧チェッカーに正しく製作したワイヤーハーネスを接続し、正しい接続を導通耐圧チェッカーに記憶させます。
次に検査したいワイヤーハーネスを導通耐圧チェッカーに接続し、導通耐圧の検査をおこないます。
配線が間違っている場合や指定電圧に耐えられない場合は導通耐圧チェッカーが自動で判断し検出します。
誤配線や圧着と圧接の不良、導体部分の周辺部への不要な接触などがあると検出されます。
・引張試験機を用いた引張強度の検査
コネクタや端子部分を引張試験機に取付け、
指定されている具体的な強度で引張っても破断しないか検査します。測定の単位はN(ニュートン)が主流です。
圧着状態や端子挿入の状態が正しければ、通常は引張試験機を用いた引張強度を満たしています。
その他にも特殊な検査が必要になる場合があります。検査方法は発注先と相談しながら確定させましょう。