ワイヤーハーネスを加工するには
ワイヤーハーネスを加工するには
一般的なワイヤーハーネスの加工方法をご紹介いたします。ワイヤーハーネスは基本的に図面に記載された情報をもとにして電線の先端部に端子やコネクタを接続し、必要により束ねたり、保護を行ったりして製作されます。
1:電線の切断
電線は通常、全長100~数100mの束巻またはドラム巻の状態で納入されてきます。後の工程で端子やコネクタを電線に接続させるため、まずは電線を必要な長さに切断します。必要な長さは、後の工程で端子やコネクタを接続するための加工部位の長さ、束ねる事による長さの変動も考慮して決定します。
電線の切断は人力でおこなう手動方式と、機械により切断する自動方式があります。手動方式では切断にケーブルカッターを利用します。ケーブルカッターは主に銅線ケーブルを切断するための専用工具です。機械方式では自動ケーブル切断機を利用します。自動ケーブル切断機は電線を必要な長さに自動的に測長して切断し、設定によって電線の被覆も剥くことが可能です。切断のロットが少ない場合は手動方式が有利となり、ロットが多い場合は機械方式が有利となります。
2:配線と結束
複雑な組配線の場合は切断された電線を図面に従い1本ごとに配線します。電線の行き先は分岐点数に依って多岐にわたるため、ベニア板に配線の分岐点となる箇所に釘を打って配線をおこなうと効率的です。配線が終わったら結束バンドやテープ、チューブで束ねて固定します。
3:電線の前処理
多芯線の場合は外部被覆(シース)を剥いて、単芯線を露出させます。電線の太さに応じて、カッターやニッパー、またはストリッパーといった専門工具を使用して外部被覆を剥きます。シールド付きや介在が含まれる電線の場合は、シールドや介在も切断して単芯線のみを露出させます。また、両端部を保護するチューブやキャップをあらかじめ電線に挿入します。この段階で挿入しておかないと後に挿入できなくなることがあります。
次に露出させた単芯線の先端部の被覆を剥いて、銅線を露出させます。電線の被覆は人力でおこなう手動方式と、機械により切断する自動方式があります。手動方式ではストリッパーを利用します。自動方式では皮剥き機を利用します。自動方式の方が品質を安定させる事ができ作業効率も高いです。
<図面に従い4,5,6の方法で端子やコネクタを電線の先端部に接続します。>
4:圧着加工
露出させた銅線部に図面に指定された端子を圧着します。圧着とは端子と銅線部の接続部分に物理的な圧力を加え成形し、銅線と端子を密着させて電気的に接続する技術です。圧着は人力でおこなう手動方式と、機械により切断する自動方式があります。手動方式も自動方式も電動式や空圧式、油圧式など様々な方式の専門工具があります。また、端子の形状に合う歯形が必要です。
圧着した端子をコネクタに挿入する必要がある場合は、図面に従ってコネクタの正しい箇所に端子を挿入します。
5:圧接加工
圧接は圧接用コネクタに圧力を加え電線と電気的に接続する技術です。フラットケーブルには直接コネクタの圧接が可能です。フラットケーブル以外の多芯電線の場合は、多芯ケーブルを融着テープ上にフラットかつ等間隔に配置し加熱により固定する融着作業が必要です。
6:半田加工
半田加工とは端子やコネクタと銅線部に熱して液化した半田を溶かし込み、電気的に接続する技術です。半田作業では結線部に熱を加えすぎると部品が焦げたり変形したりするため注意が必要です。
7:後処理
後処理は仕上げの作業となります。コネクタや電線両端、分岐点など指定部に銘板を貼ります。また保護チューブやテープによる保護を行います。作業中に汚れが付いた場合は、汚れの拭き取りをします。